「もう終わったことなんだから、忘れたほうがいいよ」 そんなふうに言われたことはありませんか?
たしかに、いつまでも過去のことを考えていたら、前向きにはなれないかもしれません。 でも、忘れようとしても、思い出してしまうときってありますよね。
ふとした瞬間に、あのときの出来事や誰かの言葉を思い出して、心が痛くなったり、自分を責めてしまうこともあると思います。
そんなとき、「早く忘れよう」と無理に思えば思うほど、逆につらくなってしまうこともあります。
でも実は、「過去を手放す」って、完全に忘れることではないんです。 思い出しても、自分を責めないこと。 思い出しても、「がんばってきたね」と自分にやさしく声をかけてあげられること。
それが、手放すための第一歩になります。
今回は、そんなやさしい手放し方と、心を今に戻す小さなコツをご紹介します。
忘れようとするほど、心が苦しくなる理由
つらい思い出や失敗って、できれば思い出したくないですよね。 だから、「忘れたい」「なかったことにしたい」と思うのは、自然なことです。
でも、心って思ったようにコントロールできないことも多いです。 「忘れよう」と強く思うほど、その記憶が頭から離れなくなること、ありませんか?
たとえば、「〇〇のことを考えないようにしよう!」と思ったときに、逆にずっと〇〇のことを考えてしまう、というようなことです。
これは、感情をぎゅっと抑え込もうとすることで、逆に頭の中に残ってしまうからなんです。
だからこそ、「忘れなきゃ」と思いすぎなくても大丈夫。 大切なのは、思い出しても、心が少しずつ落ち着くこと。 そして、「あったことはあったけど、もう大丈夫」と思えるようになること。
それが、心を少しずつ軽くしていく方法です。
自分を責めずに受け止めよう
過去を思い出すとき、自分に対して「なんであんなことしたんだろう」とか「もっとちゃんとやっていれば」と思ってしまうことってありますよね。
でも、そうやって自分を責め続けると、心がどんどん疲れてしまいます。
そんなときは、自分にやさしい言葉をかけてみましょう。
「また思い出しちゃったけど、それだけ大事な経験だったんだね」 「今の私は、あのときより成長してるよ」 「思い出してつらいってことは、ちゃんと向き合ってきたってことだよね」
こんなふうに、自分自身にやさしい気持ちを持つことが大切です。
友だちにやさしく声をかけるように、自分にも同じようにしてあげてください。
「今ここ」に戻る
人の心は、過去のことを思い出したり、まだ起きていない未来を心配したりして、不安定になりがちです。
「あのとき〇〇すればよかったな…」 「これからどうなっちゃうんだろう…」
そんなふうに考えてしまうのは、とても人間らしいこと。
でも、あまり過去や未来のことばかり考えていると、「今」の時間がどんどん見えなくなってしまいます。
「今ここ」に意識を戻すことは、心を落ち着けるのにとても効果的です。
たとえば、「今、何を見ている?」「今、何の音が聞こえる?」「今、呼吸はどう?」 そんなふうに、目の前にあるものに意識を向けてみることから始めてみましょう。
今に意識を向ける簡単な6つの方法
ここからは、学校や家でもすぐにできる、心を「今」に戻すための小さな行動を紹介します。
- あたたかい飲み物をゆっくり飲んでみる
飲み物の香りやあたたかさを感じながら、ゆっくり一口ずつ味わってみてください。 - 空を見て深呼吸する
外に出られないときは、窓の外を見るだけでもOK。 空を見ながら、ゆっくり息を吸って、はいてみましょう。 - 手や胸に手をあててみる
手のぬくもりを感じると、「ここにちゃんと自分がいる」と実感できます。 - 「今ここにいる」と言ってみる
心の中でそっと、「今ここにいる」とつぶやくだけで、少し安心できます。 - 自分にやさしい言葉をかける
「大丈夫」「よくがんばってるよ」と、自分に話しかけてみましょう。 - 今日の小さなよかったことを見つける
「今日のごはんがおいしかった」「友だちが笑ってくれた」など、どんなに小さなことでもOK。
これらの行動は、心を落ち着かせてくれて、過去にとらわれすぎないように助けてくれます。
失敗は「悪いこと」じゃなく「学び」になる
失敗したことや、うまくいかなかったこと。 それってできればなかったことにしたいけど、実はそこから得られることもあるんです。
たとえば、「次はこうしよう」とか、「あのときの気持ちがわかったから、人にやさしくできた」など。
そう思えたら、過去の失敗も意味のあるものに変わります。
「失敗=ダメなこと」じゃなくて、「失敗=次に活かせる材料」と考えてみましょう。
それだけでも、自分に対してやさしい気持ちを持てるようになります。
おわりに
今までいろんなことを乗り越えてきた自分。 それだけで、すごいことなんです。
「がんばってきたね」 「ここまでよくやってきたよ」
そうやって自分に声をかけてあげてください。
人とくらべる必要はありません。 あなたはあなたらしく、一歩ずつ進めばいいのです。
そして、自分にやさしくできる人は、まわりの人にもやさしくなれます。
心の整理って、時間がかかるものです。
今日うまくいかなくても、明日またやってみれば大丈夫。 毎日少しずつ、自分にやさしくする時間を増やしていきましょう。
過去を手放すことも、「ゆっくり」「自分のペースで」やっていけばいいんです。
あなたはちゃんと、前に進んでいます。 その歩みを、自分で認めてあげてくださいね。





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